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【絵本屋かのこ】年齢・性別を問わず大切な一冊に結び合わせてくれる中央町の絵本専門店

最近、絵本を手に取ったのはいつですか?
大人になるにつれ、またお子さんのいらっしゃる方は子どもが大きくなるほどに、絵本を読む機会が減ってきたのではないでしょうか。
今回は、年齢や性別を問わず、誰もが大切な一冊、または人に贈りたくなる絵本に出会える絵本専門店『絵本屋かのこ』をご紹介します。

絵本専門店『絵本屋かのこ』場所

『絵本屋かのこ』は、JR大分駅の府内中央口(北口)から中央町商店街を歩いて400mほど。若草公園に隣接するビルの3階にあります。

こちらの看板がお店の階段入り口。

『絵本屋かのこ』は、店舗を持たないフリーランス美容師にセット面や美容室の設備を貸し出すシェアサロン「SAIPOOL」内にあります。
一瞬、「あれ?美容室だ」と思うかもしれませんが、心配しないで扉を開けてみてくださいね。

店名の由来は?

『絵本屋かのこ』を営むのは、溌剌とした笑顔の素敵な岸本由紀子さん。
旧姓を「かの」と言い、子どもの頃からあだ名が『かのこ』だったことから店名にしたそう。
今でも”由紀子さん”より“かのこちゃん”と呼ばれる方がしっくりくるのだそうです。と言うことで、私も”かのこさん”と呼ぶことに!

ロゴマーク

看板などにも使われている可愛いメガネの猫のロゴマーク。
これは、かのこさんが自分自身をイメージしてデザインしたのだそう。

店内を見渡しても分かりますが、かのこさんは猫好きでお家にも3匹の猫がいるのだとか。
猫好きにはたまらない空間です。

店内はどんな感じ?

『絵本屋かのこ』のカウンター奥には、「秘密の部屋」のようなスペースが。
中に入ると、思わず童心に戻ってしまうかのようなワクワクする空間が広がります。

かのこさんの旦那さんが作ったというこちらのお部屋は、子どもたちが手に取りやすいよう棚も子ども目線で備えられています。
入って右に新本左に中古本が所狭しと並べられており、それらは全てかのこさんが目を通しているのだそうです。

中古本は昔から読まれている、多くの大人が読んだことのある懐かしいものを中心に。

新本は、かのこさんの好きな本。特に“クスッと笑える”“面白さを感じる”ものを中心に揃えているとのこと。

始めた当初は、移動販売をメインに行うつもりでしたが、大人もじっくり絵本を選べるよう今のスタイルを取ったそうです。

また、店内には雑貨コーナーも。
大分市に住む女性が手作りした「布絵本(6000円)」も大人気。


『絵本屋かのこ』について

書店に長く勤めており、退職後にも「本に携わる仕事がしたい」と移動書店を始め、現在の店を持ったかのこさん。

そんなかのこさんに「子どもの頃から本屋を開きたいという夢があったのか」と伺うと、実はそういう訳ではなかったそうなのです。
幼い頃から本を読むのは好きだったということですが、初めての就職したのは印刷会社。
しかし18歳という高校を卒業したばかりの年齢で、職場に同年代の人もいなかったことから長くは続きませんでした。
退職後、「とりあえず働かなければ」という思いで何気なく始めた本屋でのアルバイトが、気がつけば30年勤めるほどやりがいを感じるものになっていたと言います。

ただそこでは文芸書や美術書、実用書の担当が長く、児童書など絵本に触れることはそう多くなかったと言います。
絵本の良さを改めて感じたのは、自身に子どもが生まれてから。
大人になって読む絵本は、自身が子ども頃には分からなかった感情や哲学的な内容の深みをより感じられ、新しい感動があったそう。

また、絵本は“親子の関係づくり”にも一役買ってくれたといいます。
子育て中は仕事が忙しく読み聞かせをする時間も中々取れなかったと言いますが、休日は一緒に本屋さんへ出かけ、娘さんたちが欲しいと言った本は全て買い揃えたのだそうです。
娘さん2人が大きくなった今でも、誕生日には手紙がわりに絵本を贈るのだと話してくれました。
『絵本屋かのこ』を開こうとしたきっかけの中には、子どもが大きくなり、絵本に触れる機会が少なくなったことが寂しかったという思いもあったようです。

かのこさんの印象に残る絵本

娘さんたちとの繋がりを作ってきた絵本。
そこで、かのこさんの印象に残る本を伺ったところ、岩崎書店出版の「まほうの夏」(作:藤原一枝 はたこうしろう / 絵:はたこうしろう)を挙げてくれました。
この本は、東京都に暮らす小学生の兄弟が夏休みに二人で母親の故郷へ遊びに行き、自然の中でのびのびと夏を楽しむ様子が描かれた作品です。

実はこの本、かのこさんだけではなく娘さんたちにとっても大切な一冊なのだそう。
夏休みも変わらず仕事が忙しかったかのこさん。そんな中娘さんたちにも夏休みに姉妹二人きりでかのこさんの実家へ遊びに行った経験があり、絵本の内容と自分が体験したことを照らし合わせて深く共感し、心に残っているのだろうと言います。
絵本には、体験したことのない世界を追体験することのほかに、読んだ人の記憶を呼び起こし共感力を育む効果もあるのだそうです。

贈る本や探している本についての相談も歓迎

以前勤めていた大型書店では忙しさからお客さん一人一人に時間を割くことが難しかったこともあり、ここではただ本を売るだけではなく、「絵本と人」を巡り合わせる場所にしたかったのだとかのこさんは話します。

その思いの通り、『絵本屋かのこ』に訪れた人たちは、かのこさんに様々な絵本の相談をします。
コロナ禍で長く会えなかったお孫さんに贈る本を探している男性や、高校生の女の子にどんな本を送ったらいいのか悩んでいる方には、贈る人の好みや貰う人の年齢・興味のあるものなどを細かく聴き出し、それに添った本を提案。
また、題名も作者も分からないけれど自分の思い出の一冊に再び出会いたい方の相談には、どんな内容・絵だったかなどを聴き、探していくこともあるのだそう。中には絶版になっているものもあり、ネット上で非常に高価な値段で売られているものしか見つけられないこともあるそうなのですが、なるべく定価に近く手に入るものを長い時間をかけて探し続けているのだそう。

ちなみに私も、お世話になっているご夫婦の息子さんが誕生日を迎え本を贈りたかったので相談してみました。
「贈りたいのは2歳の男の子なのですが、上にお姉ちゃんとお兄ちゃんがいるので、みんなで楽しめるものがいいです!」…というなんとも幅の広いざっくりとしたリクエストだったのですが、かのこさんは「一番上の子は何歳?」など気になるキーワードを深掘りしてくれ、ものの数分で1冊の本を選んでくださいました。
それがこちら。

ブロンズ新社出版の「これだれの?」(作:みやこしあきこ)は、前のページに出てきた持ち物や道具から、誰の仕事なのか想像を巡らせる内容です。

「一番上の女の子が小学校低学年ということで多少文字が多くても弟君たちと一緒に読んでくれるだろうし、絵も多くてみんなでこれは何の仕事かな?と推理しながら楽しめる。そしてお仕事にも興味の湧いてくる時期だと思うので、こちらはどうですか?」という的確で思いやりの溢れる言葉を聞き、購入を即決しました。
かのこさんは本を贈る方には勿論、受け取る方にも時にはメッセージカードを使用してできるだけどんな思いでこの本を選んだのかを伝えるようにしていると言います。

贈り物はラッピングもしてくれます。ロゴマークの入ったリボンシールがかわいい!

贈った人も贈られた人も、誰しも一生に一冊は思い出の絵本があります。
ここは「ただ絵本を売る場所」ではなく、「絵本を通して思いと優しさを繋ぐ場所」でもあるのかも知れません。
かのこさんは、「絵本とこの場所は、読む方・訪れる方の年齢や性別を問いません。気負わず読める絵本は小さな子どもに贈るだけではなく、思春期・反抗期を迎えたお子さんや大人同士など、メッセージ代わりに贈ってほしいです。」と話します。
みなさんも是非、自分のお気に入りの一冊を見つけるため、そして大切な人に優しい気持ちを贈るために『絵本屋かのこ』へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

『絵本屋かのこ』では赤ちゃん・子どものみならず、大人限定の読み聞かせ会も随時開催しています。
詳しくは『絵本屋かのこ』のFacebookやInstagramをご覧ください。

情報はこちら

店名 絵本専門店 絵本屋かのこ
住所 大分県大分市中央町2丁目2 2-22 豊陽ビル3F
定休日 月曜日
営業時間 10:00-18:00
電話番号 097-594-3100
Facebook / Instagram https://www.facebook.com/ehonyakanoko/
https://www.instagram.com/ehonyakanoko/?hl=ja
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