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与謝野晶子も訪れた豊後大野市にある不動明王磨崖仏【犬飼石仏】

大分県が「磨崖仏の宝庫」と呼ばれているって、ご存知でしたか?
石仏といえば「臼杵石仏」しか浮かばない…という方も多いかもしれません。
ですが、実は県内にある磨崖仏の数は、場所で括っても70ヶ所以上もあるのです。
ということで今回は、豊後大野市犬飼町にある、国指定史跡『犬飼石仏』をご紹介します。

石仏と磨崖仏の違いって?

『犬飼石仏』を紹介する前に、まずは石仏と磨崖仏の違いをおさらいしましょう。

<石仏>
石に彫られた仏像。
石仏の種類は2つに分けられ、一つは切り出した石を加工したもの。もう一つは自然の地形を活かし、直接その場にある岩肌に彫刻したものがあります。

<磨崖仏(まがいぶつ)>
上記した石仏の種類の後者にあたり、自然の地形を活かし崖や岩の表面に彫刻した仏像のことを指します。
大分県臼杵磨崖仏群もこれにあたります。

【臼杵石仏】ユニークなイベントでも有名な臼杵市にある国宝の記事はこちら↓
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『犬飼石仏』へのアクセス

大分市内からは、犬飼インターチェンジを出て国道326号線を三重町方面へ進みます。
リバーパーク入り口交差点を右折したところにこちらの看板が。

交差点から400mほど進むと現れる道を右側に行きます。

さらに進み踏切を渡ります。

そこから300mほど登ると駐車スペースがあります。

さらに上に登り、渡無瀬公民館を過ぎると見えるのがこちら。

こちらの階段を登った先に『犬飼石仏』があります。

『犬飼石仏』

階段の先には五輪塔が並びます。

登りきると、岩壁に囲まれた広場のような場所が。
実はこちらの岩壁、約9万年前の阿蘇火砕流の溶結凝灰岩なのだそうで、『犬飼石仏』はその溶結凝灰岩に彫られた磨崖仏なのです。

『犬飼石仏』はこちらにあります。

中には、中央に不動明王坐像(高さ3.8メートル)、左右に矜羯羅童子(こんがらどうじ)、制多迦童子(せいたかどうじ)と呼ばれる立像が並びます。

不動明王は密教において最も尊重されている中心的な仏像で、大日如来の化身とされています。

脇を固める二童子は、不動明王に仕え、仏教を信仰する人間をはじめすべての生物を守護する役割を担います。

この辺りの石仏は、「奥豊後大野川流域28カ所古寺摩崖仏不動尊霊場」と呼ばれており、国東半島の六郷満山と並ぶ霊場とも言われています。

奥には石仏に関する看板も設置されており、それによるとこちらは平安時代末期から鎌倉時代初期にかけてつくられたと考えられているそうです。

不動明王の丸い顔と豊かな体躯は、石に掘られたとは思えないほど柔らかく感じますね。

岩壁に掘られた文字

不動明王上方の岩壁には、「龍傳山」の文字が。

また横には「南無大師遍照金剛」という文字が刻まれています。
「南無大師遍照金剛」真言宗のお経で、「南無」は「仏を信仰し、教えを乞うて仏教の教えのまま生きること」を意味し、「大師遍照金剛」は「弘法大師空海」を意味します。

歌人・与謝野晶子の歌碑

奥には歌人・与謝野晶子がこの地を訪れ詠んだ短歌の歌碑も。


「犬飼の山の石佛龕(ずし)さえもともに染みたり淡き朱の色」という短歌は、犬飼の山の中にある磨崖仏が夕焼け色に包まれる様を情緒的に詠っています。

大野川からほど近い『犬飼石仏』。
歌人も訪れたこの緑あふれる穏やかな場所に、ぜひみなさんも足を運んでみてはいかがでしょうか。

情報はこちら


場所 犬飼石仏
住所 大分県豊後大野市犬飼町田原渡無瀬
お問い合わせ (一社)ぶんご大野里の旅公社0974-27-4215
おおいた豊後大野ジオパーク推進協議会(豊後大野市商工観光課内)0974-22-1001
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